2010.11.18.THU

『車鹿』


夕暮れ前の白山通り、威風堂々と天井を突き破らんばかりの勢いの御立派な角の下、西日を浴びたつぶらなお目目がげに可愛いらしい鹿が軽トラの助手席に鎮座しとりました。

ガッチリ、いっちょ前にシートベルトなんぞしてて。

「おじさん、イカした鹿だね」

車脇で荷台の荷下ろし中の糸がほつれまくった大層な味が出まくったツバ付き三色ニット帽が激似合いまくったリサイクル屋マスターに声かけると

「く、車から出そうか」

とエラク嬉しそう。ふふふふ。

隣の鹿の剥製に喋りかけながら煙草吸ったり配達したり弁当突いたりしてるマスターを浮かべ愉快な心持ちとなる。


2010.11.13.SAT

『曲猫』


こんな格好でくつろぎますかね、
普通。


グニャリと曲がった胴体。


愉快、愉快。


2010.11.11.THU

『魂のPOP』


剥き出しの魂の叫び、咆哮を感じる作品に出会うと僕は戦慄を禁じえず時に落涙も辞さない。

ダイレクト過ぎる作者の意図、思惑、メッセージが強大なあまり時に作品を構成するルール、フォーマットを軽々と超越し、まるっきり自由な表現の地平へと羽ばたいてみせる、そのスリル。

僕にもサラダ付けてくだされ。


2010.11.06.SAT

『荷台兎』


兎二匹、八百屋の野菜屑かなんか頂いて、路地裏で陽光なんぞ浴びて、仕入れ用軽トラのベコベコの荷台の上のヨレヨレの段ボールの上で、いいよぉ、凄くイイよぉ。

触ろうとするとスルスルと逃げ廻る。
何回やってもそう。

「兄ちゃん、そぅーっと触ろうとするから逃げんだよ。こうやってガシッと掴んじゃうんだよ」

八百屋の主が飼い主としての堂々たる威厳を湛えつつ、つーっと寄ってきて「ほら見てなっ、オイサッ」。ガンっ。

思いっ切り掴み損ねて荷台を叩いた音に怯えきった兎共はビューっと超音速猛ダッシュで逃げ去ってました、軽トラの隅に。顔にチビまる子ばりの縦線いれてました。


2010.11.05.FRI

『匣猫』


近所の割烹料理屋の厨房勝手口付近で刺身の切れ端やら板に張り付いた蒲鉾屑やら焼き魚の皮やら結構な贅沢おこぼれを貰って呑気に生息していた野良を拾ってきて「すず」と名付け、共に目覚め、共に喰らい、共に戯れ、共に眠って数ヶ月。

ハッキリと実感した事がある。猫は物凄く壮絶に可愛い。独特のテンポ感、ノリを持ってんだなぁ。コリャおじさん一本とられたわ。参った参った。


2010.11.04.THU

『匣犬』


愛犬Pことポメリー(雌)は日がな一日木匣に入ってじーっと我が生家の米店の軒先で看板犬としての任務を全うしておるたいそう感心な犬であります。

道行く人々との交流も盛んで、トボトボと匣に寄ってくる御老体に延々と喋りかけられてたり、女子高生軍団に携帯で写真に撮られてたりしているが彼女は只只匣の中で静ぅかにじっとしているのです。

最近は幼稚園の通学バスが犬匣の前に寄せて停車し園児、保母さん達が車窓越しに名前をよんだり手を振ったりのヤンヤの喝采で完全にプチサファリパーク化の様相を呈しております。